第1558夜 【わたしのゆたんぽ】

【わたしのゆたんぽ】
偕成社 2012年12月発行
きたむらさとし
画像

『どうして世の中の人々(主に大人)は絵本を読まないのかしら?!』
と憤慨したくなる時があります。
たとえば、この絵本を読んだ後など。

『まぁ、それぞれ好きなものは違うからね。
でも、私は絵本のある人生を選んだことで、自分をラッキーだと思うけれどもね。』

以上、声に出さない独り言でした。

きたむらさとしさんの絵本は大好物です。
好物は何度食べても飽きるなんてことはないし、むしろ益々好きになっていくものです。
今回も、大きな声で「ごちそうさま」と申し上げたい!


表紙の女の子(わたし)が主人公です。

わたしは
ゆたんぽが
だいすき。

でも、ゆたんぽは
わたしのこと あんまり
すきじゃないのかも。

だって
にげるのです。
わたしの
つめたい あしを
きらって、
にげるのです。


まるで詩のような態ですが、にじみ出る〝愉快さ”がたまりません。
無駄なことばが一切ないので、そのままお伝えするしかないのです。

まいばん
わたしのあしと
ゆたんぽは
おふとんのなかで
たたかいます。
だけど さいごに
わたしが ゆたんぽを
おさえこみ、
「さあ、こうさんしろ!」
というと、ゆたんぽは
ポチャロ、ポチャロ といって、
こうさんします。
それから ゆっくり
ねむります。


ここまでは、お布団の中だけのお話です。
言ってみればちっちゃな世界です。

それがですね、ある晩、湯たんぽがついに逃げ出してしまうのです。

窓をぶち破って外へ飛び出した湯たんぽ。
なんとそれを〝わたしのあし”が追いかけます。
(注:わたし本体は依然布団の中と思われます)

冷たい夜空の下、逃げる湯たんぽをすごい勢いで追いかける〝わたしのあし”!
かなりの長さになっています。

大都会の空の上も、バビューン
わたしのあしは
おいかけます。


動物たちが憩うジャングルの上もズーン
ゆたんぽは
がんばります。


えーっ!南極?! ペンギンやアザラシ、くじらもみーんな見上げています。
わたしの
わしも
がんばります。


とうとう大気圏を超えて、宇宙空間に!
ゆたんぽは
ひっしです。

わたしのあしも
ひっしです。


〝必死”のレベルもここまで来たら本物ですよ。

ついに、湯たんぽは宇宙の彼方まで逃げました。
そして、くたびれたのか、銀河の片隅の小さな惑星に逃げ込みました。

そこを〝わたしのあし”は捕まえました。
執念です。

じゃあ帰ろうとなった時、あたりのにぎやかさに気づきます。
(絵の感じも違います)

私の目には〝足”に見えるその惑星の住人たちは、どうやら陽気な性格らしく、楽しそうに踊っています。
わたし(のあし)も浮かれて踊っているうち、湯たんぽが住人たちに取り囲まれ、押しくらまんじゅう状態になっています。

湯たんぽに触った人(?)はみなうっとり。
湯たんぽは大人気。

突然みんなが湯たんぽを抱えて走り出します。
大変 大変!
湯たんぽが誘拐されてしまいます。

わたし(のあし)は湯たんぽを見失ってしまいました。

ああ
どうしよう。


〝わたしのあし”は湯たんぽを探しましたが、見つかりません。
(両足が二手に分かれて探している様子…)

こんな遠いところで、大事な大事な湯たんぽをなくしてしまうなんて、と嘆くわたし(のあし)…。

あっ、
いました。

小高い丘の上にポツンと乗っかった湯たんぽはすっかり冷たくなっていました。
中のお湯が冷めてしまえば、湯たんぽはただのブリキの入れ物にすぎません。

そんな湯たんぽを〝わたしのあし”は抱き寄せます。
湯たんぽが ポチョル とつぶやきました。

〝わたしたち”は、宇宙をまっすぐ、寄り道しないで帰りました。

地球は朝です。
湯たんぽは大冒険にくたびれて、ぐったりしています。
〝わたし”が学校に行っている間、家で休んで待っていることでしょう。

「おやすみ、ゆたんぽ。
よるになったら
また いっしょに
あそぼうね」

ゆたんぽは
チョポロン
といって、
うなずきました。


湯たんぽ語が愛らしい!

奥付のページに、彼の惑星の住人たちが湯たんぽを偲んで建てた像が描かれています。
『にくいねぇ!』
です、まったく。

表紙の女の子が湯たんぽを抱きしめているように、私はこの絵本を抱きしめます。

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