第614夜 【ちいさな1】

【ちいさな1】
ほるぷ出版 1994年3月31日発行
アン・ランド&ポール・ランド 作
谷川俊太郎 訳
画像

ちいさな1はやせっぽち、いつもあんまり楽しくありません。
なぜならただの1は一人ぼっちだったから。

「君たちみたいに2になりたいな」
お皿の上の2個の梨に、ちいさな1は話しかけます。
けれど、梨の反応は極めて冷たく、
「2なら友だち、だけど2たす1は3になる。
それじゃきゅうくつだからあっち行け」
と拒絶されます。

中学生の女の子にはありがちですね。
3人だと、いずれ1人がちょっと寂しい思いをしたりします。

ちいさな1はこの後も、
3頭のぬいぐるみのクマ、
巣を作っている4匹の蜂、
傘たての5本の傘、
パンくずを探している6匹のアリ、
ネコとかくれんぼしてる7匹のネズミ、
本棚に並ぶ8冊の偉そうな本、
大きな金魚蜂の中の9匹の元気な金魚、
に、次々に声をかけ、仲間に入れてほしいと頼みます。

しかし、まあみごとに、ことごとく拒否され、威嚇され、そして無視されます。
『なんで、なんで?』

極限まで孤独を味わされているちいさな1への感情移入がすっかり完了したその時、真っ赤な輪っかがやってきます。
なんだかそんな予感はしていました。

「いっしょにちょっと遊ぼうよ」
輪っかの方から声をかけます。

輪っかに言われるままに、その横に立ってみると、やっぱりそうね、10の出来上がりです。

ちいさな1と輪っかはすっかり仲のいい友だちになって、いつも一緒に遊びます。
ちいさな1はもう一人じゃありません。

それにしても、ちいさな1を受け入れなかったモノたちのバラエティに富んでいること!
動物や虫といった生き物はいざ知らず、傘に本です。
生き物は、なぜかどれも小さなものばかり。
クマはぬいぐるみですから。

みんな、いわゆる「いじめっ子」らしいイメージからは遠いモノたちです。
小さくて普通に見えるモノたちが、もっと小さなモノを受け入れない・・・それは悲しいけれど現実の社会でもあることです。

「シンプルでカラフルで、しかも見事にデザイン化された画面を通して、この絵本は私たちに、数の概念だけでなく、さまざまなことを伝えてくれます・・・。」

“さまざまなこと”の中身には、ミエミエであることは承知の上で、
「どんなにたくさんの人に拒絶されても、自分を受け入れてくれる存在が必ずあるはず。
希望を捨てずにいきましょう。」
というのを一つ入れずにはいられません。

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この記事へのコメント

[魂]と⦅自然数⦆
2019年12月13日 15:59
 ≪…どんなにたくさんの人に拒絶されても、自分を受け入れてくれる存在が必ずあるはず。…≫との事を、
[2 3 4 5 6 7 8 9]を[アウフヘーベン](止揚)させた[オバケ]と[遊び]たい。
 ≪…ちいさな1と輪っかはすっかり仲のいい友だち…≫との事は、≪…数の概念…≫(入れ子構造)を[気付かせ]ている。

 [遊べる][オバケ]を、
「絵本のまち 有田川」が、[試験飼育]とか… 
ちいさな駅美術館 Ponte del Sogno (JR 藤並駅) に 
令和二年一月七日~令和二年一月二十四日
の間だけ、[オバケ]と[遊べる]とか…
絵本のまち有田川
2020年01月14日 17:35
 自然数は、
 [絵本]「もろはのつるぎ」で・・・

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