第1419夜 【おとうさんのうまれた うみべのまちへ】

【おとうさんのうまれた うみべのまちへ】
福音館書店 こどものとも 通巻724号 2016年7月1日発行
小嶋雄二 作
森英二郎 画
画像

生まれてからずっとその場所で暮らしている人に、
「故郷があるっていいですね」
と言われることが時々あります。

そのたびに、実家を離れて暮らしているというだけなのにうらやましがられるとは…と、こそばゆい感じがしていました。

ただ、もし私が、ずっと生まれ育った場所を離れずにここまで生きてきていたら、今ある故郷への郷愁は持てなかったかもしれません。
そう考えると、やはりうらやましがられる理由はあるのかなと思います。

この絵本を読んで、親のいる故郷へ自分の子どもを連れて帰るということで味わう様々な情感を、説明抜きで理解することができるといのも、そのおかげです。


「ひな」の家族は、お父さんの生まれた海辺の町へ行きます。
大綱引きというお祭りに合わせて帰省するのです。

飛行機、電車、バスを乗り継いで、おじいちゃん、おばあちゃんの家へやってきます。
山も海もある町(佐賀県唐津の呼子)です。

おじいちゃん、おばあちゃんの精一杯のもてなし。
すぐに方言に戻るお父さん。
おじいちゃんが語るお父さんの子ども時代。

どれにも覚えがあります。

さて、絵本のメイン、大綱引き大会です。
道には綱が、どこまでもどこまでも続いています。
まさにビッグ・イベントです。

初めは応援していた「ひな」も、お父さんと一緒に綱を引きます。
「丘組」と「浜組」、それぞれそろいの法被を着て、声をそろえて大綱を引きます。
高揚感が伝わります。

どちらが勝っても、豊作か豊漁、安心して応援できるというものです。
絵本では浜組の勝ち。
「ひな」の家に、好物のイカやアジのみりん干がたくさん届くことになりそうです。

木版画のやさしさがしみる絵本です。


最近は夫と二人だけの帰省が多くなっていますが、故郷に帰るということは、いくつになってもワクワクすることです。

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