第338夜 【たわごと師たち】

【たわごと師たち】
福音館書店 1994年11月10日発行
エドワード・リア 詩
佐々木マキ 訳・画
画像

48人のたわごと師たちの内訳は次の通りです。
・ご婦人9人(うち7人は若いご婦人)
・男4人
・老人(じいさん)35人

“たわごと師”とは、今風に言うと、“アブナイ人たち”です。
【あぶない】を国語辞典で引くと、③の意味で、「危機的状況が迫り、今にも最悪の結果を招くおそれがある様子だ。」とあります。
この絵本のたわごと師たちが招いている結果は、“最悪”ということばでさえ甘すぎるくらい過激で、時には残酷です。
そういう意味では、彼らは間違いなく“アブナイ人々”です。

エドワード・リアという人は、よくもまあ、これだけナンセンスなことをこんなにもたくさん思いついたものだと驚嘆します。
しかも、絵本の奥付にある説明を読むと、
「リアの人気を決定的にしたのは、1846年に出した詩画集『ナンセンスの本』でした。
リアはその後も、生き生きした絵入りの荒唐無稽のナンセンス詩や物語を発表し、英語圏の子どもやおとなに大歓迎されました。」
とあります。

これを読んで、
『そうそう、“荒唐無稽”という四字熟語は今こそ使いたいよね』
と思った次の瞬間、
“英語圏の子どもやおとなに大歓迎された”という部分に、気持ちが波立ちました。

『ホントに?』
という気持ちと、
『英語圏の文化と我々の文化の違いは、こんなにもブロードだったのか』
という気持ちで。
(大学での専攻が“異文化間コミュニケーション”だっただけになおさら)

このナンセンスを歓迎する子どもたち・・・日本にどれだけいるんでしょう。
イヤ、おとなだって・・・。


一ヶ月ほど前の新聞で読んだ、診療内科医の方のコラムにあった文章です。
「私たちは、常に意味を求め過ぎてはいないだろうか。」

このコラムの内容はナンセンスとはなんらカスル点はないのですが、意味のないことは無価値、と思ってしまう人々のあやうさについて書いてあるという点では、関連がないとは言えません。

この絵本を読んで、
「わけ、わからん」
「意味ないじゃん」
で終わってしまう人がいる可能性は、ないとは言い切れません。

ナンセンスを楽しむ基準や習慣は、きっと文化によって異なるものでしょう。
しかし、個人内で言えば、ナンセンスを受け入れられるか、あるいは笑えるか、というのは、その時の自分の気持ちの余裕を計る、ちょっとしたバロメータにはなるかもしれません。

今の私?
“たわごと師たち”に関しては、佐々木マキ氏の絵が好感度を上げているとはいえ、受け入れ度65%弱といったところでしょうか。

"第338夜 【たわごと師たち】" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント