第270夜 【おおきなおなべとちいさなおなべ】

【おおきなおなべ と ちいさなおなべ】
福音館書店 かがくのとも 通巻389号 2001年8月1日発行
二宮由紀子 ぶん
石倉ヒロユキ え
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我家の大きななべと小さななべも、こんな会話をしているのでしょうか。

夫の母、つまり姑は、なべのコレクションをしているんですかというくらい、たくさんのなべを持っています。
しかも偉い(?) のは、しまっておかずにどれも使うことなんですが、使った後、しまわないんです。
シンクの横はなべだらけで、まな板を乗せるスペースがありません。
数が数なので、収納は難しいのでしょうし、しまっちゃうと使わなくなるからなんでしょうかね。
どうしてこんなにたくさんのなべを・・・と、最初は驚きましたが、何年かして(同居していません)そのなぞが解けました。
すごいこだわりなんです。
里芋を煮るなべ、こんにゃくを煮るなべ、いんげんを茹でるなべ、という具合に、それぞれの食材担当のなべがあるのです。
他の人がなぜ?って思うことをやるから“こだわり”なんですかね。
うっかり、担当外のなべで何かを煮ちゃったりするとエライこっちゃ!なので、田舎に帰っても、私は指示されたことしかしないようにしています。

義母に比べたら、私にはなべへのこだわりは無いに等しいと言えます。
この絵本の如く、大と小(小は2つある。どちらも片手なべ)、あとは中とも呼ぶべき最古のなべがあるだけです。
大は主に、スープやカレーなどを煮込んだり、麺類を茹でるために活躍。
小は、諸々の食材を茹でたり、味噌汁用。
夫や息子が自分でラーメンを作るのも小。
煮物はもっぱら中で作ります。

小2つだけで用が足りてしまうことも、ままあります。
他の人のやり方をどうだという気はありません。
私は私のなべの登用法が気に入っています。
きっと、この絵本のなべたちのように、どのなべもそれぞれの機能を生かして協力することで、おいしい(?) 料理を作り上げることに満足してくれていると信じています。


【ポットくんと ミミズくん】
福音館書店 かがくのとも 通巻409号 2003年4月1日発行
真木文絵 ぶん
石倉ヒロユキ え
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なべの時もそうでしたが、石倉ヒロユキ氏の絵は、どうしてこう無機質のものが愛らしく生き生きしているのでしょうか。
ポットくんに内臓や動脈静脈があるとは思えませんが、断然生き物です!
ほうきで落ち葉を掃いているとこなんか、腰は入っているし、その辺の人間より様になっています。

“かがくのとも”ですから、ミミズの生態を科学的に教えてくれているのですが、ポットくんが案内人だからなのか、とてもほのぼのしています。

モグラの追撃を逃れたミミズが、ポットくんの土の中から顔を出します。
「あれ?ミミズくん。 どこから はいってきたの?」
「ポットくんの おしりの あなからさ。
おかげで たすかったよ。 ありがとう ポットくん」
こんな会話をしながらの科学情報提供ですから。

自分でまいた種が成長して、ポットくんの頭の上には赤くてきれいな花が咲きました。
ミミズくんのうんちのおかげで、いつもよりたくさん。

ミミズで思い出しました。
以前、アメリカからの帰国子女(男子)から、あちらの学校では理科の時間、一年間ミミズの観察だけをしていたと聞き、生徒共々驚いたものでした。


【ポットくんと にわのいけ】
福音館書店 かがくのとも 通巻434号 2005年5月1日発行
真木文絵 ぶん
石倉ヒロユキ え
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今回もまた、片方眉毛のポットくん、表情豊かで愛らしいです。

今度の絵本では、ポットくんは池の中に入ります。
水の中から見る景色は、新鮮なことばかりです。
ポットくんの周りに、いろいろな水の生き物がやってきます。
それらの生き物は、食物連鎖に従い、食べたり食べられたりしながら暮らしています。

中でもヤゴちゃんと仲良くなったポットくん、ゲンゴロウから身を隠すのを手伝ったり、おもしろい泳ぎ方に感心したり、最後は、頭から生えている茎を上らせてあげて、ヤゴちゃんの羽化に協力します。

最後のページで、トンボになったヤゴちゃんが友だちと一緒にやってきた池のほとりで、ポットくんが足を水にボチャボチャしているポーズ、やっぱり愛らしいのです。
(ポットくんの声のイメージは、台所用洗剤の“ジョイくん”の声ですねぇ)

折り込み付録で、真木文絵さんの「ヤゴ救出」の文章を読んで思い出しました。
というか、ヤゴといったら絶対に忘れられない思い出があるのです。

2年2組の教室は校舎の4階にありました。
プール開きを前に、体育の授業でプール掃除をした生徒たちが、バケツいっぱいのヤゴを持ち帰りました。
普段ほとんど口をきかないM字剃り込みのS君が、一番生き生きした表情をしていました。

教室にはちょうど、カメなきあと、空き部屋になっていた水槽がありました。
そこに、ダバーッとヤゴを入れて一晩たってみると、翌朝教室の中はトンボだらけ。
窓を全開にしても、教室で羽化するという貴重な体験をしたトンボたちは、大騒ぎの人間たちを見下ろしながら旋回して、なかなか外に出ていきませんでした。
大量のヤゴの抜け殻については、残念ながらほとんど記憶がありません。
二十年以上前のお話です。


【ポットくんと イチゴぐみ】
福音館書店 かがくのとも 通巻553号 2015年4月1日発行
真木文絵 ぶん
石倉ヒロユキ え
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こどものともは、夫の職場に本屋さんが届けてくれるのを、夫が持ち帰ってくれるのですが、袋を開けてポットくんと再開した時には、歓声をあげました。
「久しぶり~!懐かしいねぇ!全然変わってないじゃない!」
(こうして再現してみると、実におばさんっぽい歓声でした

前作から10年かぁ。
主に体型やたるみの変化が著しい自分にガッカリすることに慣れつつあるので、変わらぬポットくんを見て、なんだかホッとしました。

春の幼稚園に、ポットくんがぽつん。
「あ~、つまらないな~」
と、大あくびをしています。
他の鉢には花が植えられているのに、ポットくんは空っぽです。

例によって、すばらしい擬人化により、ポットくんがぼんやり歩いていると、プランターからはみ出たイチゴの葉っぱにぶつかりました。
イチゴの実たちが、それは「イチゴのもと」だと教えてくれました。

飛び出た「イチゴのもと」は、着地する土を求めているから、入れ物を探してきてほしいと言われ、ポットくんは倉庫から、壊れたバケツやらカップ、そして片方だけの長ぐつを運んできます。
土を入れて、「イチゴのもと」を植え終わると、それから毎日、ポットくんはイチゴの世話をします。

その甲斐あって、「イチゴのもと」はグングン大きくなりました。

ある夏の日のこと、長ぐつくんが、自分に植えられている「イチゴのもと」から、新しい「イチゴのもと」が飛び出していると、ポットくんに声をかけます。
「どうしよう! 植える入れ物は もう どこにもないんだよ」
困っているポットくんに、長ぐつくんが言います。
「ポットくんが いるじゃないか!」

自分が植木鉢だったことをすっかり忘れていたポットくんのしぐさが笑えます。

やっぱり、土の入ったポットくんはいいですねえ。

春になって、ポットくんの「イチゴのもと」からも花が咲き、小さな実がつきました。
嬉しそう、というのか、得意そうというのか、片方まゆ毛のポットくんの表情に、「きっとまた会おうね」と声をかけました。


ここ数年、毎年6月に、実家(秋田)の母がイチゴを送ってくれます。
もう今年は育てないと、何年も言っていながら、多年草なので、新しく苗を植えなくても育ってしまうようなのです。

実家の父母二人では食べきれず、しかも、市販のもののようには甘くないので、その処分(?!)に困った母が、私に協力を要請しての宅配なのでした。
去年思いたって、本格的にジャムを作ってみると、これが実においしくて、朝食をパンにした身にはありがたい贈り物です。
今年届いたものも、冷凍庫で出番を待っています。

「イチゴのもと」がどんどん広がって、精力的に伸びていくイチゴは、可憐なイメージだけではないんですね。
(2015年6月 書き加え)

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