第九夜 【あかいじどうしゃ よんまるさん】

【あかいじどうしゃ よんまるさん】
福音館書店 こどものとも 通巻615号 2007年6月1日
堀川 真 さく
画像

オーストラリア人の友人が、日本各地を旅して、一番気に入ったのが秋田だと言うのです。
私は秋田の出身です。
嬉しいけれど、心のどこかで、『なぜに秋田?』と思わないでもありません。
京都や北海道をさしおいて、なぜ秋田なのかとたずねると、彼女は自作の写真アルバムを見せてくれました。
すでに趣味の域を越えているすてきな写真を見ているうちに、『山や田んぼばかりで、観光客には退屈なところでしょ』と、勝手に恐縮していた自分が恥ずかしくなりました。

その中に、何枚もの軽トラ(軽トラック)の写真がありました。
彼女曰く、
「秋田の夫婦(農家の、しかもある程度の年齢と思われる)はみんな軽トラに乗っている。畑で作業するのも一緒、どこかへ行くのも軽トラで一緒。美しい夫婦の形態です!」

心底びっくりしました。
私の両親も確かに毎日軽トラに乗っています。(弟が軽の乗用車を買ってプレゼントしたのにもかかわらず、買い物に行くにも軽トラです。)
確かにいつも一緒です。
でも、それが特別美しいことだなんて考えたこともありませんでした。

オーストラリア人の彼女にとって、軽トラは日本の農村の文化の象徴なのでした。
彼女の話を聞いて以来、軽トラを見る目が変わりました。
道で軽トラとすれ違うたびに運転席を見て、案の定夫婦らしい二人が乗っていると、『美しい』とまではいきませんが、『いいね、いいね』と思うようになりました。
褒められたことではとても影響を受けやすいのです。

“よんまるさん”を読んで、軽トラのことを思い出したので書きました。
たぶん、車がただの車ではない、という共通点を感じたのだと思います。

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