第1661夜 【ちょうちょうなんなん】

【ちょうちょうなんなん】
あかね書房 2018年4月30日発行
井上奈奈
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鮮やかな桃色の曲線に導かれて進んでいくストーリー、
その線の出どころは、蝶々のはばたきです。

「バタフライ効果」という仰々しいことばを使うほどではありません。
桃色の、くねくねとした細い線にのった文字を追っていくうちに、
連続した何かを目撃していくまでです。

まるで学芸会で蝶々の役をやっているように、
大きな羽根を背中に付けた女の子が、桃色の線を生み出していきます。

蝶々のはばたきは、眠っていたクマを目覚めさせ、
クマの水浴びに驚いたカエルが川に飛び込み、
釣り餌に喰いつこうとしていた魚を、結果的に救うことになります。

釣り人だった少年は、その日のご飯をあきらめ、帰り道で仔馬に出会います。

驚いた仔馬は大きな木に激突。
木の上で眠っていたおびただしい数のコウモリを一斉にはばたかせます。

空一面のコウモリに「夜が来た」と勘違いした人々は早々に眠りにつきます。

みんなが寝静まったころ、蝶々は聞いたことのない音を聞きます。
蝶々は、心の中のしんと静かな湖のような場所が、
その音に揺らされるのを感じました。

すると、別の蝶々(少年)がそばに来て、
その音は地球の回る音だと、耳元でささやきました。

「喋喋喃喃」というタイトルはこのシーンのことなのでしょうか。

その日、夜明けまで蝶々たちは、地球の回る音に合わせて踊りました。

「このおはなしは ちょうちょうの みちたりた いちにちと
 いっしょうの おはなし」

「みちたりた」は、「一日」と「一生」の両方にかかっています。

ここまで続いてきた桃色の線の果てに、
クモの巣の上で眠るように目を閉じている蝶々を見ると、
なぜだか悲壮感はみじんもなく、
まだ、地球の回る音が、彼女の胸の中で止まってはいないように思えます。



















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