第1647夜 【ゆきだ ゆきだ】

【ゆきだ ゆきだ】
福音館書店 こどものとも年中向き 通巻418号 2021年1月1日発行
中村至男 さく
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今年の雪は災害クラスであると、
実家(秋田県湯沢市)にいる弟からLINEがありました。
実家の小屋や近所の家の屋根がやられた(つぶれたか破損したか…)とも。

こうなると雪は益々やっかいもの扱いされるでしょうね。
ただでさえ、雪国で暮らす人たちにとって、
雪はただ単にきれいなものでは済まされない側面があります。

でも、
でもね、
私は雪が好きです。

雪投げ(「雪かき」といった生ぬるいものではない)を、
黙々と一時間以上やっていると、自然と無我の境地に至ります。
余計な雑念が自分から抜け出ていった感じになるのです。
そういう感覚は、普段なかなか体験できません。
肉体的にはハードな作業ですが、私は決して嫌いではありません。

それはそれとして、
雪が好きな一番の理由は、
雪はすべてを白く覆い尽くし、世界を違ったものに見せてくれるからです。
そういうものは他にはないでしょう。

そんなわけで、雪国で生まれ育った私ですが、
今でも『ゆきだ、ゆきだ!』と気持ちが上がります。

「しろ」(絵本に登場する犬の名)が雪原を駆けていくページの、
圧倒的な白の空間の広さに感動です。

その後も、「しろ」が雪の中に居るシーンは、ほとんどが白の空間です。

ウサギたちが登場しても、雪だるまが登場しても、
あるのは白の空間です。

実際、実家のある地域の冬は、
こんな具合に、どこを見ても白ばっかりなのです。

習性として「しろ」が電柱の根元に黄色いシミを残していった場面では、
子どもの頃、じさま(祖父)が、真っ白な雪をおしっこで黄色くするのを、
とても憎々しく思ったのを思い出しました。

「主観的輪郭」ということばを初めて知りましたが、
雪国の者にはこの認知能力が自然に備わっているかもしれません。

まさに、余計なものがない、とてもすてきな絵本でした。

中村至男さんの絵本は、第1166夜でも紹介しています。














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