第1640夜 【ばらいろのかさ】

【ばらいろのかさ】
福音館書店 2019年6月15日発行
アメリー・カロ 文
ジュヌヴィエーヴ・ゴドブー 絵
野坂悦子 訳
barairono kasa.jpg
とてもステキで洒落たラブストーリーです。

カフェを営むアデルは、愛らしく、きらきらと輝き、
顔なじみのお客さんにとっては太陽のような女性です。

アデルの店に、週に一度(水曜日)、店内で野菜を販売するためにやって来る若者がリュカです。
見るからに誠実そう。
いつもアデルを見守っています。

自然を楽しむことを知っているアデルでしたが、雨は苦手でした。
雨の日は、お客さんがいなくなると店を閉め、布団に潜り込むことさえありました。

ある水曜日、店を閉める時間になったので床を掃除していると、
コート掛けの下にバラ色の長靴を見つけます。
誰かの忘れ物だろうと、お客さんに尋ねますが、持ち主がわかりません。
長靴は、アデルの小さな足にぴったりでした。

次の水曜日も、店を閉めようとすると、コート掛けに、今度はバラ色のレインコートが掛かっているのに気づきます。
やっぱり持ち主はわからず、サイズはアデルにぴったりです。

次の水曜日は天気が悪く、お客さんもほとんどいません。
アデルはコート掛けを見張っていました。

お客さんが一人も来ないので、リュカが早めに片づけを始めました。
「今日は何にも起こらない」
そう思いながら、リュカを見送ります。

しかし、コート掛けを見たアデルは、息が止まりそうになります。
コート掛けの下には、かわいい、バラ色のかさがあったのです。

かさを置いていったのは、間違いなくあの人。
他には考えられません。

長靴をはき、レインコートを羽織り、そしてバラ色のかさをさして外へ出たアデルの目に、泥にはまって動けなくなっているリュカの車が見えました。

びしょぬれだったリュカに、アデルが言います。
「私のカフェに戻って、晴れるのを待ったら?」

ステキな相合傘のシルエットと、おそろいの靴底模様が余韻を残し、
二人のこれからを暗示してくれます。
アデルにも、そしてリュカにも、
「よかったね、お幸せに」と声をかけたくなりました。

絵のことを言うのは気が引けますが、目が単純な黒丸( ● ● )なのです。
どの人物も。
彼らの感情を表すのは、顔の中では「眉」と「口」です。
逆に言うと、「目」に頼らず、これほど豊かな表情が描けるんだなと感動です。

色鉛筆なのかパステルなのか、タッチがとてもやさしい絵が、このストーリにぴったりです。

とにかく、ハッピーエンドは読み手の心を温かくしてくれるので大好きです。























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