第1636夜 【ねるじかん】

【ねるじかん】
アリス館 2018年5月31日発行
鈴木のりたけ
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本屋さんでパラパラとページをめくった時に、
これはここでは読み切れないと判断し、購入しました。

寝る時間なのになかなか寝ない男の子と、そのお母さんが登場人物。
他に、大変個性的なキャラクターたちが登場しますが、〝人物”とは言えません。

布団に横になっている二人ですが、
男の子は怪獣のおもちゃでまだ一人遊びの真っ最中。
寝る気配がありません。

おかあさんの方が先にうとうとと八割ほど睡眠状態に入っています。

母親というのは、横に子どもがいたら、100%の睡眠に入るのはきっと無理です。
何パーセントかの気が、子どもに向いているから。

そんなわけで、このお母さんも眠っていながら男の子の言うことにちゃんと反応します。
絵を見なければ、なんてことないやりとりです。
でも絵を見ていると、二人の会話のずれ具合が巧みでおもしろいのです。

男の子が窓の外を見て、
さかな そと!
と叫ぶと、お母さんが、
「あら おきてたの
そとは もう まっくらで
さかなも ねるじかんですよ」


でも、実際絵本では、夜の街の宙を魚が泳いでいます。
しかも魚の中には、玉ねぎが二つ紐でつながったような謎の生物が搭乗しているのです。

ボーっと見ていてはいけない絵本です。
最初に異変が起きたページですでに、ドアの端っこがちょっと歪んで、ドアにはネコの形のシミが。
ぐにゅうううう
っと歪みが激しくなったら、コンセントの差し込み口がブタになっています。

そうした変化を見つけるのも楽しいのですが、
何といっても、最初のページの枕もとに転がっていた物たちが、
「あらここに!」
と、どんどん登場していくのを見つけるのが実に愉快なのです。

枕もとが伏線の宝庫です。
絵本の表紙には、いずれ宙を飛ぶことになる魚の絵。
男の子が手に持って遊んでいる恐竜のフィギュア。
床に転がっているシマウマは、いずれ生首状態で屋根の上に!
ビー玉。
車、飛行機、新幹線のおもちゃ。
便せんと封筒、赤いペン。
時計、望遠鏡のようなもの。
とにかく、後で出てこないものはありません。
なんて律儀な作家さんなのでしょう。

魚の飛行船に乗る謎の生物も、実は男の子の足元に転がっていました。
マスコット?

男の子が外へ出て、ポストの後を追っていくというのも、
日頃ポストのお世話になっている身としては親近感を抱きます。
ポストたちが電線を伝わって便りを届けているとは!

ビー玉が宇宙にこんなに似合うなんて意外でした。

日本の街並みに、突然スフィンクスが描かれていても、もはや驚きません。
夜が明けたら普通の山なんですけどね。

何度もページをめくり返し、確認しながら読むことになります。
終わったら、もう一度。

最後にポストがどこかに行っちゃっていたのにはアレッと思いましたが、
きっと間もなく帰って来るでしょう。
迷子になっても、ちゃんとお巡りさんが面倒みてくれますから。

鈴木のりたけさんの絵本は、第1491夜でも紹介しています。













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