第1589夜 【アリになった数学者】

【アリになった数学者】
福音館書店 たくさんのふしぎ傑作集 2018年10月5日発行
森田真生・文
脇坂克二・絵
arininatta su-gakusha.jpg
読後のこの不思議な感じ…
今自分が読んだのは、
SFだったのか、物語だったのか、数学書だったのか、それとも詩だったのか…

″数学”というものを、こんなふうに語ってもらったことがありませんでした。


  ぼくは、アリになってしまった。

  アリになるまえ、ぼくは数学者だった。


  数学者は、存在しないものについて研究しているのだ。

「数」も「図形」も、本当はどこにもない…
本当はどこにもない「数」や「図形」のことを、数学者は
家族や友だちや、好きな人を思うのと同じくらい考えている

そうやってじっと関心を集めていると、「数」や「図形」の心が少しずつわかるようになってくる…
というのです。

「数」や「図形」の心…

さらに、
  数や図形の声に耳をかたむけ、心かよわせあうこと。
  それが、数学者のいちばん大切な仕事なのだ。

「数」や「図形」の声…


学生時代、ひと時は「数学」を心底憎んだこともありました。
今思うと、それは教科としての数学にすぎなかったのですが…。

その頃の自分に、この絵本を手渡して、「読んでごらん」と言ってあげたい。


アリとして、もう一匹の働きアリに、
「七つの実」を理解させようとするお話は、
ちょっと愉快ですが、とても興味深い。

数のない世界。
数学の通じない暮らし。

想像したこともありませんでした。


アリになったぼくは、女王アリに、
人間の知っている数とは違う、色や輝きや動きのある数のことを教えられます。
刻々と変化し続けている生きた数の世界です。

「心」や「声」を持ち、数はまさに生きているのでした。

  人間がアリや、クラゲや、草や木々の数学を、
  理解できるようになる日が、絶対にこないとはいえない。

森田さんの願い、望み、希望、そんなものを聞いた気がしました。


学生ではなくなり、教科としての数学に苦しむ必要がなくなったとたん、
私は数学mathematics が好きになりました。

矢野健太郎さんの本と、そして安野光雅さんの絵本のおかげです。

その安野光雅さんが、この絵本の帯にことばを寄せています
「この本は、数学の核心にしっかりと触れた 
 とてもうつくしい″絵本”なのです。」


さて、私の手元には【脇坂克二のデザイン】という本があります。

この本で見たデザインを真似て、はがきにマスキングテープを貼り、
娘に送ったりしました。

デザインはもとより、
脇坂さんが奥様に宛てて一日一葉、
一日も欠かさずにデザイン画をはがきに描いて送り続け、
その数はすでに一万枚を超えているということに驚き、感動しました。

この絵本の内容に絵を添えるというのがとても難しいであろうことは、
素人にもわかります。

改めて見ると、すべてのページが、
一枚一枚 趣の異なるデザイン画のように見えます。







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この記事へのコメント

言葉の量化と数の言葉の量化
2021年01月20日 03:50
≪…「数」や「図形」のこと…≫を≪…「図形」…≫の説明に用いる[点・線・面]を『HHNI眺望』で捉えると≪…「数」…≫の言葉(自然数)に出逢える絵本「もろはのつるぎ」(有田川町ウエブライブラリー)・・・

これから、数直線は、『幻のマスキングテープ』に生る・・・