第1449夜 【こいぬをつれたかりうど】

【こいぬをつれたかりうど】
福音館書店 こどものとも年中向き 通巻370号 2017年1月1日
中国の昔話
牧野夏子 再話
佐々木マキ 絵
画像

表紙のクールなおじいさんが主人公の狩人です。
目を閉じたようなこの表情、終始変わりません。

温厚そうなこのおじいさん、実は狩りの名手。
しかも、鉄砲も持たずに狩りに行っては、必ず獲物を持って帰ってくるのです。

その噂を聞き、ある日、遠くの村のお百姓が、村を荒らすトラを退治してほしいとやってきます。
仕事を引き受けた狩人は、子犬を連れ、縄を一束担いで村に向かいます。

狩人の到着を待っていた村人たちは、頑強そうな大男をイメージしていたので、おじいさんを見て拍子抜けします。
狩人なのに、鉄砲を持っていないんですからねぇ。

翌日、不安げな村人たちに見送られ、狩人はトラのいる山へと入っていきました。


こりゃぁ、読者だって気になります。
子犬の世話に、徹頭徹尾、ごま油を用いていましたから、そこにヒントがあるのだろうと考えました。

子犬がツルリツルリと獲物を翻弄して疲れさせ、捕獲する…というのじゃないかしら。

なにしろ、子犬は体をごま油で洗ってもらうだけではなく、水の代わりにごま油を飲み、ごま油に浸したパンをエサにしているおかげで、鼻のてっぺんから尻尾の先までツルツルのつやつや。
ごま油の香ばしいにおいをぷんぷんさせているのです。

ドキドキしながらページをめくると、
山に入った狩人は大きな木の幹に縄を括り付け、もう一方の端を子犬の尻尾に結び付けると、さっさと村へ帰っていきました。

おっ、私の推理は当りか?!

いえいえ、疲れさせて捕獲なんていうつまらないやり方ではありませんでした。

子犬の体が発するごま油のにおいに誘われやってきたトラたちが、次々と子犬に飛び掛かって一飲みにしてしまうのですが、その都度子犬はトラのお腹の中をするりと通り抜け、お尻からつるんと飛び出してしまうのです。

その結果どうなったかというと、七頭ものトラがまるで数珠のようにつながってしまいました。

こんな結末を誰が予想したでしょう?!

村人は大喜び、狩人もたくさんのお礼をもらって帰りました。

こんな斬新な狩りの仕方を思いついたおじいさんもすごいですが、口からお尻へするり、つるんと通り抜けてしまう子犬がエラいではありませんか。

ストーリーの面白みが、佐々木マキさんの軽やかな絵で一層際立ちます。
あ~、やっぱりいいなあ。


牧野夏子さんと佐々木マキさんによる中国の昔話の絵本は、第339夜でも紹介しています。

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