第1426夜 【あめのひのかえりみち】

【あめのひのかえりみち】
福音館書店 こどものとも 通巻726号 2016年9月1日発行
岩井真木 文
五十嵐大介 絵
画像

雨の日、保育園に通う〝そうくん”と〝かいくん”が、お迎えに来たお母さんと歩いて家に帰る途中のお話です。

〝保育園”ということばには、今でも敏感に反応します。
我が家の子どもたちは、学童状態になるまで、ずいぶん長い間、保育園のお世話になりました。
「足を向けて寝られない」という慣用句の上の句を作れと言われたら、真っ先に思いつくのは、「保育園には」でしょう。

私だけが抱く思いかもしれませんが、〝保育園”には少しの哀愁があります。
底抜けに明るいイメージの〝幼稚園”とは、運営的なものだけではない違いがあるのです。

あずかってもらえる時間の長さが決定的に異なるわけですが、長くあずかってもらわなければならない親の都合、そこから発生する申し訳なさのようなものが、〝保育園”には付きまとっています。

ちょっと切ないそんな感覚は、保育園に子どもをあずけたことのある人だけが共有できるものかもしれません。


雨がしとしと降っています。
〝そうくん”は保育園の窓から空を見上げ、「お母さん、まだかなあ」と待っています。

「そうくん、おくれて ごめんね。」
そう言って、お母さんが迎えに来ます。

「遅くなってごめんね」というセリフを、私はいったい何百回言ったことでしょう。
ほぼ毎日ということもありました。
お迎えが最後、のチャンピオンでした。
我が家の子どもたちも、〝そうくん”のように空を見上げていたのでしょうか。


自転車が壊れてしまったので、〝そうくん”たちは歩いて家まで帰ることになりました。

お母さんは傘をさしていますが、〝そうくん”と〝かいくん”はカッパを着て、雨の中も自由に動き回ります。

お母さんは寄り道をしないで帰りたいのですが、二人は、道路の側溝にも、木からのしずくにも、いちいち好奇心全開です。

水溜りにジャンプして音の違いを楽しんだり、駐車場の坂道をウォータースライダーに見立てて、だだだだだだーっと駆けおりたり、雨の日にしかできない遊びを、自然に編み出してしまう二人です。
子どもは「濡れたら不快」なんて思わないんでしょうね。

思いがけず、駐車場の高台から緑の街並みを見ることになった二人とお母さん。
「ここから こんな けしきが みえるなんて しらなかったなあ」
お母さんも、もう二人をせかしません。
「もう きょうは のんびり かえろうか」


保育園に子どもをあずけているお母さんたちは、いつでも時間に追われています。
やらなければいけないことがたくさん先に待っています。
だから、本当はそうしたくなくても、
「早く~して」
と言わなければならないのです。

でもたまには、この絵本のように、『まぁ 今日は のんびりで いいかぁ』と、ある意味開き直るのは、自分のためにも子どものためにもいいことだと思います。

知らなかった景色が見つかるかもしれません。


雨の絵をたっぷり楽しみました。


岩井真木さんの絵本は、第1265夜でも紹介しています。
五十嵐大介さんの絵本は、第1256夜でも紹介しています。

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