第1381夜 【じつは よるの ほんだなは】

【じつは よるの ほんだなは】
講談社 2014年8月6日発行
澤野秋文
画像

私が魅力を感じる人というのは、間違いなく「遊び心」を持っている人です。

「遊び心」は、「楽しむ能力」とも言い換えられると思います。

これまで“生徒”という呼び名ではありましたが、大勢の“人”と出会ってきて、「楽しむ能力」=「遊び心」というものは、すべての人に備わっているわけではないということを感じます。

言い方を変えると、「楽しむ能力」=「遊び心」を培いそこねてきたんだねぇ…と、残念な思いをすることも多々あるということです。

そんな“人”にこそ見せたいこの絵本。
澤野氏の遊び心に溢れています。
これは「遊び心」が形になった本です。

タイトルからしてそうでしょ?
「夜の本棚」じゃあないんですよ。
「じつは よるの ほんだなは」・・・
そのまま本文に引き込まれます。

このざっくばらんな語り口で話しかけられながら、「遊び心」を、これでもかというほど見せつけられるのです。


夜の本棚では、本の中から挿絵の動物たちやら人間たちが飛び出して、大騒ぎをしています。
それを見張っているのが、犬張り子の「こたろう」です。

ところが、「こたろう」が居眠りをしている間に、本から抜け出て迷子になってしまうモノが続出。
それらを探していくというのが、この絵本の楽しみ方の軸になっています。

しかし、単なる探し絵の絵本ではありません。

例えば、「出鱈目図鑑」に迷い込んだリスを探しながら、リスの捜索を忘れるほど楽しい道草ができるのです。
それは、国語辞典で目的の語に行きついた後、その前後の語でまた楽しんでしまう面白さに似ています。

「出鱈目図鑑  いろいろな『み』」のページに並んでいるモノを少しだけ紹介しましょう。
くぬぎ → くるみ → おくるみ → きぐるみ → ぬいぐるみ
どんぐり → どんぶり → ずんぐり → くり → そっくり → びっくり → とっくり
なす → びーなす
れもん → ごえもん

絵がお見せできなくて残念です。

リスの後も、桃太郎に幽霊、シンデレラ、と捜索は続きます。

基本的に絵は和風です。
完全なる江戸時代の風景(雑踏の中)に、シンデレラが紛れ込んでいるのですから愉快です。

細かな絵が上手い!
すべてのページの隅々まで堪能できます。

絵本でたっぷり楽しんだ後も、自分の本棚の夜の様子を想像して、楽しい時間はまだ続きます。
我が家の本棚の、「こたろう」役は誰なのでしょう…

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