第1377夜 【どんぐりずもう】

【どんぐりずもう】
福音館書店 こどものとも年少版 通巻452号 2014年11月1日発行
いしだえつ子 さく
飯野和好 え
画像

音読し始めてすぐに、自分が優れた講談師のような名調子になっているのに気分をよくしていました。
ことばに操られて、自分が変化する楽しさ!
存分に味わうことができます。

そして、このどんぐりたちの力強いこと!
どんぐりとお相撲さんの組み合わせ、どうしてこれまでなかったの?!と不思議なくらいぴったりです。
土のにおいを感じさせ、ずっしりとした重量感のある飯野和好氏の絵だからこそ、そう感じたのでしょう。

折り込み付録で、「殻斗(かくと)」ということばを初めて知りました。
作者のことばをそのまま引用します。

 どんぐりのおしりについている殻斗は、親木が一つ一つにぴたりとあつらえた立派な晴れ着だ。
種類によって模様や厚み、深さ、手触りまで違う。
雌花が受粉し、実を結んだ時からずっと、どんぐりはこの殻斗に守られて育つ。
“おくるみ”の中の赤ちゃんみたいに。
 どんぐりが成長するにつれ、殻斗はお腹の辺りを覆い、秋を迎える頃には絶妙なバランスで腰回りを支え上げている。
どんぐりの丸みと輝きに映えるその形。
相撲の力士がつける“まわし”のようではないか。
見よ、時をかけて成熟した実の、力強く、美しい出で立ち。


同じく、「作者のことば」の中で、いしだえつ子さんは、親木の愛情の深さについても述べています。
説明するよりも、そのままの方がいいですね。

 毎年どんぐりを生み落す、身近なブナ科の木々。
親としての眼差しを向ければ、猛暑や豪雨など、過酷な気候変動をものともせず、よくぞこれほど多くの子どもを育て上げたものだと感服せずにはいられない。
頃合いを見計らったように落ちてくる無数の枯葉は、子ども達のために、地面に布団を敷いてあげたいと願う、親木の愛情のように思う。


こういう文を読むためにも、「こどものとも」は傑作集になってからではなく、月刊のうちに手にしなくては――


どんぐりを見つけると、それで何をするということもないのだけれど、拾ってしまう…
そんなことも、作者のことばの中にありました。
そういうことをする大人は自分だけではなかったんだと、嬉しくなりました。

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