第1284夜 【クリスマスには おひげが いっぱい!?】

【クリスマスには おひげが いっぱい!?】
ほんとのサンタさんの話
BL出版 2009年10月20日発行
作 ロジャー・デュボアザン
訳 今江祥智&遠藤育枝
画像

なぜだか懐かしさを感じさせる絵本というのがあります。
昔、持っていた、とか、読んだ、という、確かなつながりがあるわけではないのに、妙に懐かしく思う類の絵本が。
この絵本がまさしくそうです。

もしかしたら、私の抱いているサンタクロースの原風景のようなものが、この絵本の絵に近いのか。
あるいは、デュボアザンの絵自体が、何かしら『懐かしさ』を感じさせるものを持っているのか。
いずれにせよ、心地よくページをめくっていきました。


クリスマスになると、偽物のサンタが町に溢れることに立腹した本物のサンタクロース。
見かけた偽サンタのうそっぱちのひげを、片っ端からむしり取ります。

通りにも、お店にも、地下鉄にも――
いやもう、偽のサンタだらけです。

    赤い服を着て、ひげをつければ、痩せていようが、若かろうが、誰でもサンタになってしまいます。

    ピザ屋さんがサンタの格好で配達中、交差点でスリップして転倒したのを見たことがあります。
    幸いすぐに起き上りましたが、あんな薄着で寒かろうにと思ったものでした。
    ひげはついてたかどうか、記憶が定かではありません。


さて、そりに山盛りになった偽ひげを持ち帰ったサンタクロースは、大いばりで奥さんに見せます。
ところがところが――
奥さんは厳しい声でこう言いました。

「まぁ、ひどいこと!
にせひげのサンタを、消してしまったの!」

その一言で、鼻高々だったサンタクロースはぺしゃんこになります。

自分のそっくりさんになろうとしたのを、とっちめてやっただけだというサンタクロースに、奥さんが言います。

「あなたは、おなじ時間に いくつの場所においでになれるものかしら?」

もちろん一つ所だとサンタクロースが答えると、

「それじゃ、あなたのことを ちらっとしか見られなかったり、
ぜーんぜん見られなかったりの人は どうやって
たのしいクリスマスを むかえられるっていうの?」

「そっくりさんが、町やお店をたのしくしてくれたってわけ。
こどもたちは、みんなあなたと とってもあいたがってるの。
サンタなしのクリスマスなんて、さぞかし つまらないでしょうからね」

これを聞いて、サンタさんは こりゃ悪かったな と思います。
そして、一つ一つを箱に入れて持ち主に送り返したのでした。

それからというもの――
クリスマスに見かけるそっくりさんが多ければ多いほど、サンタさんはご機嫌でした。


このお話のポイントは、サンタさんの奥さんの賢さだと私が思うのは、自分が“奥さん”だからでしょうか。
二人の夫婦関係に一つの理想を見て、心温まりました。
二人で偽ひげを送り返す箱詰めをしている絵は、本当にすてきです。


先日、「ごきげんよう」に出ていた関根勤さんが、
自分の妻への愛情は、結婚した時と同じ男女のものなのに、
妻の愛情は、夫婦愛から家族愛、そしてとうとう人間愛のレベルに達している
と言っていました。
私は深くうなずいていました。

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