第1264夜 【サンゴのしまのポポ】

【サンゴのしまのポポ】
福音館書店 こどものとも 通巻690号 2013年9月1日発行
崎山克彦 作
川上越子 絵
画像

自然と深く関われば関わるほど、人間の力を超えたものを感じ、そこに“神”や“精霊”を見出すのかもしれません。

小さな南の島に暮らす男の子ポポは、毎朝家族と一緒に、潮が引いて浅くなった海を歩き、魚や貝やウニなどを獲ります。
自分たちに充分な量だけを獲り、海の恵に感謝していただくのです。

ポポには、仕掛け作りの上手なラモンという友だちがいます。
よその島の人がしていた、いくらでも魚が獲れる不思議な赤い網の話を聞いたラモンは、一人で舟を出し、島を離れます。
何日かするとラモンは、魚がはちきれそうに入った赤い網を抱えて帰ってきます。
目をぎらぎらとさせたラモンは、まるで別人のようです。

その日から、島では魚がほとんど獲れなくなってしまいます。
魚を獲りすぎないよう忠告されても、ラモンは誰の話にも耳を貸しません。
ポポは、ラモンが元に戻るように毎日祈ります。

おじいさんは、ラモンはオゴという悪い精霊にとりつかれてしまったのだと言います。
そして、インカントというよい精霊が、オゴを退治する方法を知っているというのです。

ある日、海にもぐって魚を獲っていたポポが海面に顔を出すと、目の前に、大きなカメに乗った見慣れない子どもがいました。
その子に言われたとおり、大人の猟師たちの手を借りたポポは、色の濃くなっている場所で海にもぐると、紫色の大きなタコを捕まえ、赤い網で漁をしていたラモンめがけて投げつけます。

タコがラモンに絡みつくと、ラモンの口から黒いものが煙のように現れ、空中を飛んで逃げていきました。
いつの間にか、赤い網も消えています。
その日を境に、ラモンは元のラモンに戻りました。

見慣れぬ子どもこそがインカントだったのです。
島の周りの海には、また魚や貝が戻ってきました。


ご自身が実際に、南の島で20年以上暮らしているという作者の崎山克彦さん。
「足るを知る」という島の生活こそ豊かでしょ。
あなたの生活はどうですか?
あなたにオゴはとりついていませんか?
そんな崎山さんの問いかけが聞こえてきそうです。


輪郭が明確ではないクレヨンの絵は、“南”や“暑さ”をストレートに感じさせます。

数日前に、帰省先の秋田から戻ってきてみると、連日酷暑の関東の風景は、なんだか輪郭がぼやけています。
肌だけではなく、目が暑さを感じます。
朝夕の寒暖が今もはっきりしている東北の景色は、涼しい夜に一度リセットされるためか、クリアです。
圧倒的な土と緑の多さのおかげかと思います。

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