第1081夜 【あそぼうよセイウチ】

【あそぼうよセイウチ】
絵本館 1993年5月発行
佐々木マキ
画像

お話には必ず起承転結があって、最後には“オチ”のようなものがあるべき、という思い込みは捨てましょう。

ある朝、お屋敷の庭師の前にセイウチが現れます。
まったく何の前触れもなく、ドーンと、ページいっぱいに。
『えぇ~っ?!』と思いますが、驚きの半分は愉快な気持ちです。

庭師の娘はセイウチを見てもちっとも驚いたりしません。
それどころか、一目見るなり、
「すてき、なんてりっぱな セイウチでしょう!
こんにちは。 よろしくね」
などと言ってしまうのです。

父親の言いつけで、セイウチを居るべき場所に返すべく、女の子はセイウチを動物園や海へと連れて行きます。

海では女の子を背中に乗せて泳ぎ回ったりして、あまりに楽しそうなので、こりゃあ海に帰るのかな、と思いきや、女の子はセイウチを家へ連れて帰ります。

怒った父親は、きっとデパートから逃げてきたのだろうからと、町のデパートへ連れて行かせます。
帰るべき場所の候補として、動物園、海の次がデパートって、凡人には思いつきませんでした。

もちろんデパートではセイウチを取り扱ってはいません。
二人は映画館に入ります。
ありえない事だらけなのに、セイウチにもちゃんと切符を買うあたり、妙に律儀です。

映画館でのセイウチの楽しそうなこと!
周りの人達も、セイウチの存在そのものにはちっとも驚いてなどいません。
興奮して大声を出したことに反応しているだけです。

結局どこへ行っても、女の子とセイウチは楽しむのです。
“楽しめる”というのは一種の才能だと常々思っていますが、彼らのその才能はかなり豊かです。

さて、女の子とセイウチの話はこれでおしまい。

セイウチはどうなったのか、気になりますよね。

実はまだお屋敷の池にいるのです。

むか~しの歌を思い出しました。
「いいじゃー ないのー しあわせー ならば~

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