第761夜 【ひとまねこざる】

【ひとまねこざる】
岩波書店 1954年12月10日発行
文・絵 エッチ・エイ・レイ
訳 光吉夏弥
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純粋な好奇心に従って行動するおさるの“じょーじ”、一目見たら誰でも彼を好きになるのではないでしょうか。

動物園に住んでいる“じょーじ”は、ある日、番人の隙をみて、おさるのおりから逃げ出します。

動物園で動物(特におりに入っている)を見て、『外へ出たいだろうな』と思ったことはありませんか。
私はあります。
というより、いつでもそう思います。
類人猿系のおりの前では特にそう思います。
ですから、“じょーじ”が自由に外を歩き回っている様子が、私には痛快です。

動物園を出た“じょーじ”は、バスの屋根に乗って街までやってきます。
そして、レストランで皿洗いをしたり、高い“びるじんぐ”の窓拭きをしたり、中学生の職場体験のようなことをします。
“じょーじ”は器用なんです。

でも、窓から入り込んで壁一面に描いたアフリカの絵は、持ち主には気に入ってもらえませんでした。
みんなに追いかけられて地面に飛び降り、“じょーじ”は脚を骨折してしまいます。

病院に運ばれた“じょーじ”のことを新聞で知った“黄色い帽子のおじさん”が迎えにきます。
そうして、“じょーじ”を撮影所へ連れて行き、ジャングルの映画に出演させます。
自分で自分を演じる(?) “じょーじ”が生き生きしていないわけがありません。

“じょーじ”の冒険を、まるで自分のことのように思って楽しむ子どもたちが世界中にたくさんいるのは容易に想像できます。
でもきっと、大人の中にもそういう人はけっこういるんじゃないかと思います。

【ろけっとこざる】
岩波書店 1959年12月5日発行
文・絵 エッチ・エイ・レイ
訳 光吉夏弥
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こういうのをドタバタ喜劇っていうのでしょうか。
とにかく、“じょーじ”に悪気が無いのだけは確かです。

“黄色い帽子のおじさん”と一緒に暮らしている“じょーじ”宛てに手紙が届きました。
“じょーじ”は自分で手紙を読めませんが、書くことならできそうな気がして、机の引き出しをごそごそやります。
これが始まりです。

ペンにインクを補充しようとして床を青いインクで汚し、それを何とかしようとして粉石けんと水を床にまき、部屋中泡だらけにしてしまいます。
泡が消えた後の部屋は水浸しです。
水をかい出すためにポンプを取りにいきます。
ポンプは重いので、ブタに引いてもらおうと思って柵を開け、一匹残らずブタを逃がしてしまいます。
そこで今度は牛にポンプを引いてもらいますが、お百姓さんに見つかり、逃亡です。

今回はトラックの荷台に飛び乗り、博物館にやってきます。
そこで、偽物とは知らずに椰子の実を採ろうとして“だいのそうる”の模型を倒してしまいます。

“じょーじ”を捕まえ、怒っていた“わいずまん”博士が、実は自分の開発した宇宙ロケットに“じょーじ”を乗せたがっていることがわかります。

タイトルが【ろけっとこざる】なのに、いつになったらロケットが出てくるのかと、実はちょっと気になっていたところでした。
絵本の残りのページはほんの少しです。

“じょーじ”は宇宙服を着てロケットに乗り込みます。
すぐに打ち上げです。
訓練も何もありません。

博士が信号を送ったら“じょーじ”はハンドルを引くことになっていたのですが、ちょっとだけ遅れてみんなをハラハラさせます。
でも、見事に予定通りの操作をして、“ぱらしゅーと”で空から降りてきます。

地上に降りた“じょーじ”は英雄です。
何しろ、宇宙飛行をした最初の生き物になったからです。
博士は“じょーじ”の首に金メダルをかけてあげます。

最後の数ページの展開の速さにはおみそれしました。
強引とも思えるお話の展開を、さほど不自然とも思わずに読んでしまえるのは、やはり“じょーじ”の身軽な心身の魅力によるところが大きいのでしょうね。

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