第７６０夜　【びっくりビック】: 絵本千夜一夜

2009年10月27日

第７６０夜　【びっくりビック】

【びっくりビック】
福音館書店　こどものとも年中向き　通巻199号　2002年10月1日発行
ふせ　わかこ　さく

表紙のこのネコがビックです。
いかにも誰かをびっくりさせるのが大好きという顔をしています。

おどかしていればビックはごきげん、元気いっぱい、まんまるなのに、おどかせないと元気が出ずに、みるみるやせてげっそり、しょんぼり、まったくの別人になってしまうのです。

ある日、ビックは悪ふざけが過ぎて、とうとうお巡りさんにつかまり、牢屋に入れられてしまいます。
署長さんはビックに、“ごろにゃんやま”に住んでいるヒックの所へ行くように命じます。

もう誰かをおどかすことのできないビックは、ヒョロヒョロにやせた状態で、地図を頼りに“ごろにゃんやま”に向かいます。
あまりにやせ細ったビックは、山のてっぺんまでやってくると、風に飛ばされて空に舞い上がり、ヒックの家の煙突に吸い込まれてしまいます。

家の中にいたヒックはしゃっくりが止まらずに苦しんでいました。
そこへビックがズドーンと落ちてきたのです。
「ひゃー！」っとびっくりしたヒックのしゃっくりが、おかげで止まっていました。

驚いたヒックを見て、ビックはごきげん、みるみるうちに元気いっぱいまんまるの顔になりました。
二人はお互いにお礼を言います。
しょっちゅうしゃっくりに悩まされていたヒックと、おどかすのが大好きなビックは一緒に暮らし、まさに持ちつ持たれつ、幸せな日々を手に入れました。

ハッピーエンドはいいですねえ。
元気のない時には特に、ハッピーエンドのお話や映画を所望したくなるものです。
誰も傷つかずにハッピーエンドを迎えられると、なおさら嬉しいです。