第561夜 【ジャリおじさん】

【ジャリおじさん】
福音館書店 こどものとも年中向き 通巻89号 1993年8月1日発行
えとぶん おおたけ しんろう
画像

私には芸術とは何かなんてことはわかりませんが、もしかしたら、大竹伸朗氏のこういう絵のことを“芸術”というのだろうかとぼんやり思います。

なんだかインクをこぼしちゃったみたいな海、人より小さい家、入選した小学校低学年の読書感想画みたいな街の絵、ちょっと着いていけないかな・・・なんて、途中ちょっと弱気になりかけました。

それでも、グイグイ意欲的にページをめくって読み進んだのは、ジャリおじさんの人柄?というのか、はっきりいってそのことば遣いのおかげです。

海を見て暮らしていたジャリおじさん、ある日後ろを振り向くと、ずうっと黄色い道が続いているではありませんか。
「このみちは どこへ いくのじゃり」

黄色い道を歩いていくと、ピンクのワニ、青いゾウ、タイコおじさんと出会います。
ジャリおじさんが道をたずねても、タイコおじさんはタイコでしか話しません。
「タイコの ことばは むずかしいじゃり」

いろいろな人と出会いますが、その道がどこへ続いているのかだあれも知りません。
日が暮れて、空にはたくさんの星。
明らかにジャリおじさんの顔の星座です。

暗闇でもう一人のジャリおじさんとばったり。
青い大きな神様がご馳走をたくさんくれると聞いて、またまたジャリおじさんは先へ進みます。
「やまみちの かぜは きもちいいじゃり」

ところが、歩いても歩いても道はまだまだ続きます。
ジャリおじさんとワニは、頭がボーッとしてきて、神様が道の向こうに立っているのに気がつきませんでした。
「もうへとへとじゃり」

うわぁ~、青い神様、強烈!!
頭の上にはフルーツ満載、ガウンのようなものを肩からかけてギターを奏でておりますが、顔をなんと表現してよいものやらわかりません。
傍らにいる青い生き物らしき物体は何なのでしょう。
ゲ、ゲージュツ・・・?

青い大きな海にたどり着いて、黄色い道は終わりました。
またしてもインクを感じさせる海であります。

ジャリおじさんとワニは、海の傍に家を建てました。
海からはたくさんのご馳走が採れます。
なるほど家の周りには海草や魚介類がたくさん、そして、イカが何杯も干してあります。
「そろそろ ごはんの じかんじゃり」

キテレツ大百科のコロ介の「なり」
ドラえもんのスネオのママの「ざます」
古いところでは、イヤミの「ざんす」

キャラクターを強く印象づける語尾が、私は好きです。

昨年、私と娘の間に「コリポキ」ブームがありました。
今でもふざけて、「だから言ったポキ」というような調子で愛用しています。
ただ、音的に、「ポキ」は飛び出た感じがするので、「じゃり」のほうが自然だなぁと思います。

海から旅を始めて海に帰る・・・そこに何か比喩や哲学があるのだろうかなどと考えず、ジャリおじさんと、ぼんやり黄色い道を歩くのが楽しいのかと思います。

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