第328夜 【怪盗スパンコール】

【怪盗スパンコール】
福音館書店 2001年11月30日発行
佐々木マキ
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読書感想文の季節になると、表紙に、“課題図書”だとか、“推薦図書”といったシールを貼った本が平積みされているのを見かけますが、私は本屋さんへ行くと、自分が『これだ!』と思う絵本に、オリジナルの推薦ステッカーでも貼りたい衝動にかられることがあります。
佐々木マキ氏の絵本になら、すべてと言っていいでしょう。

幼いわが子に絵本を物色している様子の若いお母さんやお父さんを見かけると、ついつい「だんな、上物ありますよ・・・」と声をかけたくなることもしばしばです。
(でも、ホントは誰にも教えたくない気持ちもちょっぴりあります。)

子どものうちから、この色彩、このウイットに触れることができたら、日本人の国民性も、じわじわ変化するのではないかしらと、期待を込めて願うところであります。

佐々木マキ氏のプロフィールには、「マンガ家、イラストレーター、絵本作家」の順で紹介されています。
ご自分の希望なのかどうかはわかりませんが、どうやら「マンガ家」がトップに来るらしい。
となると、この本が本業ドンぴしゃりということです。
そのためなのか、偉そうにいえば、とてものびのびしていらっしゃるように感じます。

“怪盗スパンコール”、その名もキャラクターもステキです。
クールでそつなく見えながら、実はそうでもない。(使用する武器はことごとくおもちゃ)
“怪盗”と呼べるほど、盗むという点で成功をおさめているわけでもない。
「どろぼう稼業も なんだか くたびれてきたよ・・・」なんて弱音も吐く。
そばを通ったらポマードの匂いがしそう。
でもなんだか魅力的なのです。

他にも、毎度おなじみのキャラクターたちも個性的で、一度読んだら忘れがたい。

おそらくスパンコールより、怪盗活動としては多くのエネルギーを消費し、成果をあげている相棒のラメは、嘘か誠か「生まれたんはパリでんねん」と言っている。

人目につくのを避けるためと言いながら、一層目立つかぶりものを被っている大金持ちのゴールドリッチ(実にわかりやすい名前)。
いかにも頼りなく、しょっちゅうラメに拷問(最も過激なのは、靴下の匂いをかがせるというもの)されて、あっさり情報を漏らす彼の秘書。

スパンコールを追って、いつも大勢の部下を引き連れていながら捕まえることのできない、顔だけは強面のノビレ警部。

スパンコールの住処は、つたの絡まった、まさに崩れかけたビルの地下。(最後はボロ船の中になりますが)
いつも目玉焼きを食べているラメ。
スパンコールからの手紙を見て、「うむ まさしく やつの字だ」と、何の根拠もなく必ず言うノビレ警部。

毎回繰り返されるおなじみの場面やせりふというのは、読者の脳にアルファ波を起こさせるような気がします。
安心して娯楽に浸れる、これはあくまで、“コミック”ではなくて“マンガ”なのであります。

《掲載マンガ紹介(帯より)》
○純金のガイコツはいただいたぜ         あっとおどろく 「さらば黄金ガイコツ」
○830万ポンドルのおまるとは     スパンの変装がさえる 「おまるをめぐる冒険」
○リッチが買えばスパンが動く           ようやるわの 「まぼろしのブタに真珠」
○かくれがを包囲されたスパンとラメ       思いがけない 「スパンコールの休日」
○宝石強盗のぬれぎぬをはらせ        ラメがかっこいい 「真犯人を追え」

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