第204夜 【うごく浮世絵】

【うごく 浮世絵】
福音館書店 2005年1月20日発行
よぐち たかお 作
アーサー・ビナード 英文
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見ればわかる、というより、見ないとわかりません。
ミスプリント?という感じの、線のぶれた絵があります。(それが浮世絵なのですが)
付属の特殊なシートを絵に密着させて、そろそろと小さな円を描くように動かすと、おぉ~と声をあげずにはいられないことが起こります。
タイトルどおり、絵が動くのです。

表紙の写楽の絵、眉と目が、歌舞伎役者の独特な見開きのように、上下に動くのです。
北斎の富嶽三十六景の、岩場から漁師が網を打っている絵は、漁師の動きあり、網の動きあり、波の動きあり、とにかく躍動感いっぱいです。
広重の鳴門の風波は、まさに渦を巻いています。
花火や、蛍や桜や雪のように、大きな動きのないものも、かすかな揺らぎのような変化に風情を感じます。
北斎の赤富士が、静かに青く変化した時には、息をのみました。

添えてある日本語も英語も、どちらも楽しめます。
とにかくもう、お手にとってごらんくださいとしか言えません。
先日立ち寄った近隣の街の図書館にあるのを目撃しましたので、今すぐGo!です。
(みなさまの街の図書館にもありますように)

浮世絵の美しさ、その風情に触れる絶好の機会であることはまちがいありません。


【くうきのかお】
福音館書店 2005年11月1日発行
アーサー・ビナード 構成・文
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古今東西の名画を、“空気”という視点から見て案内してくれるという発想が、まずは面白いではありませんか。
アーサー・ビナード氏の、面白がる才能の恩恵に、どっぷりつかりましょう。

絵本を読んでいても、“空気”を感じることが時々あります。
描いた人が優れているからなのは当然ですが、感じる側の感性も大事かもしれません。
そんな感性を磨くには、ぴったりの絵本。

文字の色をアレンジするなど、遊び心もいっぱいです。
(2012年10月 書き加え)


【お~い カナブ~ン】
福音館書店 年少版こどものとも 通巻257号 1998年8月1日発行
アーサー・ビナード ぶん
沼野正子 え
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でっかいカナブンを追って、男の子が虫取り網を振りかざして薄暗い森の中へと走っていきます。
公園の入り口のモニュメントからして、薄気味悪いといわざるをえません。(表紙にあります)
森の中には、木の陰や切り株や岩に、得体の知れない何者かが潜んでいます。
見たこともないものたちですから、名前もわかりません。
男の子の持っている虫取り網自体がなにやら不気味です。

最後は、よくわからないもの代表とも言うべき、チャイタイムラーと名乗る虫のおばけのようなものが登場します。
男の子は、一度はカナブンを捕まえるのですが、このチャイタイムラーのおかげで取り逃がします。

不思議な世界である森から帰ると、男の子はまた日常に戻るのですが、このお話を通して、ずっと普通だったのは、カナブンだけでした。

沼野正子さんの絵本は第22夜、第160夜でも紹介しています。


【カエルのおんがくたい】
福音館書店 こどものとも年少版 通巻288号 2001年3月1日発行
アーサー・ビナード 文
ドゥシャン・カーライ 絵
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作者のアーサー・ビナード氏は、生まれかわるならカエル、と付録に書いています。
英語の中と日本語の中と両方で仕事をしている氏の暮らしは、来世のための無意識の下準備なのか、とも。

私は、それほどにはカエルを信奉してはいませんが、家にカエルの小物がやたらとあります。
旅先の店や、雑貨屋さんなどで見つけたものがほとんどです。
小さな緑の生き物が目にとまると、なぜだかつい買ってしまうのです。

ある時、家にあるカエルの小物たちに、一つずつ名前をつけてみようとしましたが、「ぴょん太」、「ぴょん吉」、「ケロロ」とやっていたら、十もいかないうちに名前が尽きてしまいました。
カエルだから、ぴょんだのケロだのとつけなければならないという思い込みが、発想を狭めてしまったのです。
この絵本に出てくるカエルのように、「オルネット」でいいわけなんです。
そのうち、また挑戦します。

ドゥシャン・カーライ氏の絵がとても美しいです。
緑がほどほどにその sticky さを感じさせながらも、カエルの手足が伸びやかに動いて躍動する感じが伝わります。

ドノーブル池に住んでいる31匹のカエルは、朝から晩までケロケロ鳴いています。
ある日、ケロケロにはもう飽きたオルネットというカエルが、食べようと思って口の中まで入れたシロアリに、助けてくれたらなんでもするからと命乞いをされ、クラリネットを作るように注文します。
シロアリは木をかじるのが得意、見る見るうちに木の枝からクラリネットを作ります。

オルネットがクラリネットを吹いていると、他のカエルたちもうらやましくなり、次々とシロアリを捕まえては楽器を作らせます。
太鼓にフルート、バイオリンに、なんとグランドピアノ。
31匹のカエルたちは、一晩中演奏しながら池の周りを回ります。

朝まではしゃいで疲れたカエルたちは、グーグー寝てしまいます。
カエルたちの大騒ぎで眠れなかったシロアリたちは、楽器をガリガリ食べてしまいます。
もはやただの木くずと化した楽器は、シロアリたちの家に形を変えていました。

ステキな楽器も、シロアリたちにとっては、所詮“木”、つまり、食するものに過ぎませんでした。
木くずを塔のように積み上げた家の前で、「ごちそうさま」と笑っているシロアリを見たときには、この絵本の主人公はシロアリだったか!と思ったほどでした。
この後目を覚ましたカエルたちの顔を見てみたい気もします。


【どきどき おんがくかい】
福音館書店 年少版こどものとも 通巻246号 1997年9月1日発行
ドゥシャン・カーライ 作
関沢明子 訳
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この絵本にもカエルと楽器が登場しますが、その他の生き物たち諸々の色彩感というのか、グラデーションというのか、とにかくその美しさ、すばらしさにうっとりします。(ピンクのホルンにはガツンとやられました)
おそらく、こんな色合いの昆虫にしろ動物にしろ、実際には存在しないでしょうが、そのリアルさ、(しつこいようですが)色彩、すばらしいとしか言えません。
太鼓をたたいているミツバチ、横笛を吹いている蝶、とにかく、この絵本に登場している生き物たちを見たら、「絶対いる!」、「いてほしい!」と叫びたくなります。

この絵本を見たら、誰でもドゥシャン・カーライ氏のとりこになることはまちがいありません。

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