第九十四夜 【かげぼうし】

【かげぼうし】
冨山房 1976年7月20日発行
安野光雅
画像

表紙の絵にクラッときてその絵本を買うことが、わりと高い確率であります。
そうして買った絵本に失望させられることはほとんどありません。
30年も前に、私はこの絵本の表紙にヤラレました。
この絵のジグソーパズルまで買いました。

“雪” には過剰なほど反応してしまう私ですが、この絵の雪のなんと美しいことでしょう。
屋根や塔、そして彫像に積もる雪も、空一面に降る雪も、夢のようです。

二つの物語が同時に進行します。
片方は、安野氏が大好きなアンデルセン童話のマッチ売りの少女です。
そして、もう一つは影の国のお話で、こちらはいつもの美しい切り絵になっています。
最後は二つのお話が一つになります。
薄幸の孤独な少女と、影の国ではある意味一人だけユニークな見張り番が手を取り合って秘密の国へ逃げ帰る絵が、抑えた色味ながらもカラーを感じさせ、右側のページの切り絵と対照的に見えます。

影の国にたどり着いた二人の表情の違いが、このお話が単純なハッピーエンドなのかそうではないのかの判断を容易にさせてくれません。
自ら見張り番の腕に自分の腕を回し、王様の結婚式宣言にすっかりその気の少女と、何が起こったのかよくわからずに戸惑っているような見張り番。
To be continued という感じです。
でも、今日でこのドラマは最終回だから、結末は自分で考えてね、と言われているようです。
自分が、少女の立ち位置に立つか、見張り番の身になるかで読後感が違うかもしれません。

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