絵本千夜一夜

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zoom RSS 第1408夜 【ベッペじいさんとねこ】

<<   作成日時 : 2016/06/12 13:14   >>

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【ベッペじいさんとねこ】
福音館書店 こどものとも 通巻723号 2016年6月1日発行
藤島由美 
画像

話の核心に至る前に、周辺的な話をしなければならない時ってありますよね。
職業病なのか、私の場合、順序立てた説明抜きに、いきなり「そのこと」の話ができないのです。
娘には、
「また長くなる?」
とか、
「やっと(核心に)来た〜」
などと、しょっちゅう茶化されます。

だって、AやBやCや…のことを踏まえてでないと、Mのことは本当にわかってもらえないじゃぁありませんか。

なんだか今日はそんな具合になりそうです。


通販のおまけでもらった種を、ベランダの空プランターにパラパラと無造作に蒔いたのは一週間ほど前です。
おととい、ふと見ると、かわいい双葉がたくさん並んでいるのに気づきました。

なんとかわいらしい!
おととしもらった種なのに、ちゃんと芽が出た!
しかも、こんなにたくさん、生命力にあふれて!

と、ひとしきり感激した後、こんなにびっしり生えているのでは、お互いのためにならないだろう、いわゆる「間引き」ということをせねばならないのか…と考えました。

夫にも、「それはやらなければならないことだから」と言われましたが、どうにも踏ん切れず、結局間引いたものを、別のプランターに移植することにしました。

水をたっぷりやってから、割り箸でそっと根を痛めないように浮かせて抜いて、移し植えようと思ったのですが、どうやって水をたっぷりやるかです。

実は我が家は如雨露ない歴1年ほどになります。
一時は3つが同時に稼働していましたが、次々に壊れてしまい、バケツで代用していました。

このバケツ、業務用です。
昨年末に、温水器のパイプに不具合が発生し、漏水事件が起きました。
その時、業者の人が、応急手当て的にパイプを切断し、深夜にオーバードローしている水を、迂回させたパイプを通してバケツで受けるという、極めてシンプルなシステムにしました。

このシステムにより、温水器が収まっている空間の扉は常時開放状態、つまり、廊下が狭くなりました。
それよりなにより、毎朝、バケツにたまった水を捨てなければならないというミッションが生じたのでした。

この水、汚れているわけではありませんから、ただジャーっと捨ててしまうのは惜しかったので、ベランダの植物たちのために使うことにしました。

バケツを持ってリビングを横切り、ベランダへ。
バケツの水を両手ですくったり、ペットボトルでくみ取ったりして花たちに水をあげながら、この作業、なかなかいい!と思っていました。

バケツを持つと、「仕事をしている」感が体にみなぎるのです。

思い出してみると、農業を営んでいる両親の仕事に、バケツは欠かせないものです。
思い出せるバケツの種類は、一つ二つではありません。
大中小、大きさが違う物だけでなく、細長い物、注ぎ口がすぼまった物など、用途によってバリエーションがありました。
バケツは、働き者の象徴のような物でした。

さて、廊下の半開きのドアにも、バケツでの水やりにもすっかり慣れて半年、ついに先週、パイプの修理が終わりました。
廊下が広くなったのはありがたいのですが、さて、ベランダの花に水を…と思った時に、もうバケツに溜まった水がない、つまり、バケツと一緒の作業ができない、ということに気付き、意外にも大きな喪失感に襲われたのです。

バケツのある生活が妙に恋しくなりました。

かといって、水道の蛇口からバケツに水をくんでというのも、ちょっと違和感を感じるのです。
バケツでなければならないシチュエーションではなくなったのですから。

昨日、百円ショップでプラスチックの如雨露を買ってきました。
それとバケツとの合わせ技で、午前中、はつか大根の間引き、移植を行いました。
バケツの存在が心強かったです。

はぁ、長くなりました。
やっと絵本の話です。

しゃべっているとしたら、ここでコーヒーブレイクでしょうね。


ベッペじいさんは一人暮らし。
漁師です。
捕った魚を港でじかに売った後、残った魚を、港にいるネコたちにあげます。

その日、見慣れない黒白のネコに気付いたじいさんは、そちらに魚を放ってやりますが、他のネコたちに取られ、痩せっぽっちのネコは一匹ももらえません。
「じきに なれるさ」

じいさんはイワシを4匹バケツに入れて家に向かいます。

途中、やはり一人暮らしのおばあさん、マリアさんが2階のバルコニーからひもでスルスルとバケツを降ろしてよこします。
中にはお金が入っています。
ベッペじいさんは、お金を取って、代わりにイワシを2匹いれます。
マリアさんはそれを引き上げます。

家に戻ると、窓の下からアルマさんが声をかけます。
ローズマリーがたくさんとれたと言うのです。

じいさんはバケツをスルスルと降ろします。
ローズマリーの束と、そばにいた例の黒白のネコも一緒に、バケツに入れてもらい引き上げます。

ちょっとドジな黒白のネコと、ベッペじいさんはきっと一緒に暮らすことになるのでしょう。

この絵本でも、バケツはただ便利な入れ物というだけではないようです。
物の受け渡しをしながら、人と人とをつないでいます。

中に入った物目線でも、バケツは守ってくれる頼もしい存在に思えるのかもしれない…などと思っていたら、裏表紙で、黒白のネコが気持ちよさそうに、ベッペじいさんの黄色いバケツの中で丸まって眠っていました。

私の長い話に疲れてしまったのかもしれません。


もう一つだけ、折り込み付録の「絵本の小径」(筒井頼子さん)の中に、記しておきたい文章がありましたので…。

【あまがさ】という絵本について。
今は大きくなられた娘さんが、この絵本がその後の自分の文章や絵の好みの原点になっている気がすると言うのを聞き、

「娘たちに絵本を読んだ日々、『あまがさ』の登場回数が際立っていたようにも思わない。
長女にとってこの本が、そのような本だとは、長い間、知らずにいた。
すぐには見えない、降り積もる影響力を考えずにいられなかった。」


「すぐには見えない、降り積もる影響力」ということば、心に沁みました。

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