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【コケーナと であった チャンゴ】 福音館書店 こどものとも 通巻406号 1990年1月1日発行 やなぎや けいこ 再話 野口忠行 絵 恐れ多くもダ・ヴィンチのデッサンにあこがれて、五色のコンテを買い込み、自分の顔や上半身を描いてみたことがありました。 高校生の時です。 高校では音楽を選択していたので、コンテでのデッサンなど初めてのこと、もちろん我流でした。 ぼかしでごまかせば、実力の120%くらいの見栄えにならないものかと、邪心いっぱいでスケッチブックをゴシゴシこすったものです。 この絵本の絵が何で描かれたのかわかりませんが、チャンゴが町を歩く絵を見たとたん、コンテのことを思い出したのでした。 不思議な魅力を持った絵です。 土や岩、レンガや木の橋、そして人々が身にまとっている衣類、そのほとんどが茶色を基調としているのですが、一つ一つの色が微妙に異なります。 どのページも、自分がそこにいるような臨場感を感じる絵です。 チャンゴはヤギ飼いの男の子。 5匹のヤギを飼っていて、毎日ヤギのために柔らかい草ときれいな水を探して歩いています。 ある日チャンゴは、仲間に教えてもらったとおり、山の向こうに行くことにします。 道は険しく遠いのですが、ヤギのためならがんばります。 たどり着いた谷には、おいしそうな草ときれいな川がありました。 ヤギたちが草を食べ、水を飲んでいると、辺りが急に暗くなり、黒雲が広がったかと思うと、雨と稲妻が彼らを襲います。 チャンゴたちは岩陰に隠れましたが、クロというヤギがいないことに気づきます。 チャンゴはクロを探しに雨の中に飛び出します。 岩の上にクロを見つけたと思って走り寄ると、それはクロではなく、リャマの子どもでした。 チャンゴはやさしく声をかけ、その子を抱き上げようとしました。 すると、リャマの子は消え、そこには小さな神様が立っていました。 山の動物たちの守り神“コケーナ”です。 動物にやさしく接するチャンゴに、コケーナはクロの居場所を教えると、欲のない褒美にと金貨と銀貨をくれました。 家路につくチャンゴたちが、今まさに沈もうとしている夕日に照らされている絵には、夕日の輝きとぬくもりを感じます。 山の夕日は、それはそれはきれいなのです。 「地球家族」という写真集で、アンデスの家族の写真を見た時に、その誇り高い表情に衝撃を受けたことを思い出しました。 【ファンが悪魔をつかまえた】 福音館書店 こどものとも年中向き 通巻80号 1002年11月1日発行 やなぎやけいこ 再話 今井俊 絵 版画の黒と白の世界には独特の空気がありますが、今井俊氏の版画には圧倒的な迫力があります。 大食いのファンが悪魔に会うために旅をします。 悪魔が住むという“火を噴く洞穴”がどこにあるのか人々に訪ね歩き、33人目の人に教えてもらっている見開きのページ、夥しい数のサボテンが乱立している荒野です。 この風景にノックアウトされない人はいないでしょう。 オオワシやコヨーテに運ばれ、3人の行者に一つずつヒントをもらい、とうとう悪魔を捕まえたファンは、悪魔を家へ連れ帰ります。 「大食いのおまえより、悪魔の方がよっぽどまし」 そう言ったお母さんも、まさか本当に悪魔を連れ帰るとは思わずびっくりです。 結局、怖いもの知らずのファンは、悪魔を空の彼方に飛ばし、毛を1本抜いてふっと吹くと牛になるコヨーテを手に入れました。 食べるのに困らない夢のような方法を妄想して物語を創ったのは、きっと世界共通のことだったのでしょうね。 【たいへんだあ】 福音館書店 こどものとも年少版 通巻370号 2008年1月1日発行 やなぎや けいこ さく 今井 俊 え 多色刷りの版画です。 お話もかわいらしいく、絵もかわいい。 きっと途中、純朴な動物たちの姿に、何度も「かわいい!」が口を突いて出てくるはずです。 静かな森の中、もみの木の高い枝に赤い風船が引っ掛かっていました。 夕方リスが見つけて言います。 「たいへんだあ」 リスはウサギの家へとんでいき、 「たいへんだあ。 お日さまがもみの木に引っ掛かっちゃった」 それを聞いたウサギは、タヌキの家へとんでいき、 「たいへんだあ」 タヌキはキツネに、キツネはイノシシに、イノシシはクマに、伝言ゲームのように伝えます。 もみの木の下に森中の動物たちが集まってきました。 その騒ぎに目を覚ましたフクロウは、みんなの話を聞き、もみの木に飛んでいきます。 みんながお日さまと間違えているのは風船とわかると、フクロウはちょっと考え、風船に爪をたてます。 ばあん! その音に、もみの木の下で、びっくりして放射線状にひっくり返っている動物たちには声をあげて笑ってしまいました。 両手はバンザイ、お腹を上にして倒れています。 なんて無防備。 なんてかわいい! 「お日さまが消えちゃった!」 「たいへんだあ」 フクロウが言います。 「今の音を聞いたかい。 お日さまが空へ帰っていった音だよ。 明日の朝、空を見てごらん」 次の日の朝、まだ暗いうちに、動物たちは集まって、お日さまが昇るのを眺めます。 「あっ、お日さまだ」 「ちゃんと帰ったんだ」 なんて心憎いフクロウの判断だったことでしょう。 今井俊氏の絵本は第250夜でも紹介しています。 |
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